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今回、ちょっと復活に時間がかかりそうなのですが
ペンを走らせてみたら、思いがけず楽しくかけました。
今日はホワイトデー。
世間のホットなカップル(笑)がもっと仲良くなる日で、
一部の人には辛い日で、
残りの人には、あるかないかのお返しを期待する・される。
そんな微妙な日。
--バレンタインありがとう--
ロニ=デュナミスは悩んでいた。
彼は上記の例に漏れ、「お返しでがっちりハートをキャッチ(?)」したいと踏んでいた。
先月はシンのそんな日があるんだよ発言で、発言者の意図に反して盛り上がった女性陣からチョコをもらっていた。
無論、カイルもジューダスもしっかりもらていたわけで、「義理」と言う言葉はロニの脳内から今やすっかり抜けている。
いかに喜んで…いや、むしろイメージアップを図るかがロニの潜在意識に沈着して離れない状態だった。
だから一人でやる。
何か分らない何かを成し遂げてみせる。
「義理」に厚い男、ロニ=デュナミスが義理を忘れて盛り上がっているのをシンは確かに見た。
夜。
そしてとうとうロニは成し遂げた。
「どーだ!うまいだろう!!」
「ロニ、すごーーーい!!」
独り暮らしで磨きに磨いたそのスキル、料理の腕を振るって彼は一生作る予定はなかったであろう。巨大なホールケーキを作り上げていた。
正統派の白いクリームに、旬のイチゴ。
コントラストの鮮やかかつモノクロがおしゃれなチョコのデコレーション。
一番上にはほんのわずか、上品にちりばめられた金のパウダー。
村のパティシエ真っ青な出来栄えだ(町にはあらず)。
「おいしい!おいしいよ、ロニ!」
カイルも思わず舌鼓。
ロニは確かに尊敬のまなざしが降り注ぐのを感じた。
「今時、男の人はこれ位してくれる人がいいわよねv」
リアラの発現も右から左に筒抜けさせてなんのその。
「けれどそんなテンションに染まりつつも鋭かったのは天才様だった。
「もっと食っていいぞ。なんてったって6人分だからな!グランドシェフ ロニ様の神業を味わってくれ!」
「でもこれ、あんたの思い付きじゃないわね」
ぷっくりした頬にクリームをつけ、ハロルド。
「え」と刹那、時は止まった。
「な、なななな何を言うんだね、ハロルドくん」
「ん~理由は73個ほどあるんだけど」
いや、この場合ありすぎだろう。
きっと今のロニの態度で74個になっただろうことを思いながらシンは黙々とケーキフォークを口に運ぶ。
「あんたの邪(よこしま)な思考パターンじゃ、こんなサプライズは思いつけないからよ!」
ビシリと指を突きつけ叫んだ。
当たり。
シンは空になっているジューダスの皿にケーキの周りに飾り付けられているフルーツを取り分けた。
「そうなのかい?」
途端にナナリーの頬がひきつけた。
「いや、あのその…」
ロニがあまりにも燃えていたのでサプライズを提供した次第である。
「ちょっとでも見直して損したよ!」
そこまで怒ることもないと思うが、少なくともナナリーの好感度は放たれた弓により地に落ちたようだ。
リアラの目も心なし冷たい。
おいしいのに。
「僕はなぜケーキが6人分なのかが気になるんだがな」
「皆で食べられたからいいんじゃない?」
我関せずな二人を他所にまさしく坂を転がり落ちるが如き評判のロニだった。
それでもケーキを間食するリアラ、ナナリー、ハロルド。
女性は強かだなぁと思いつつ。
-了-
あとがき**
はじめ(下書き)はジューダスが一言もしゃべっていなかった件について(だから?)。