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TOD1,2キャラクターによるレスや日々の記録【サイト話題に付随したブログです】
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花咲き誇る季節…春。
その訪れは庭の花木を見て入れは自ずとわかった。
最初は梅、次に桜。次は何が咲くだろう。
この屋敷には十年以上住まっているのにそんなこともわからない。
花の移ろいを意識をしだしたのはごく最近のことだ。
「リオン、庭のチューリップが咲いたよ。チューリップって白から咲くんだね」
その原因が窓から外を眺めて微かに笑った。
ヒューゴ邸の庭は花にはことかかない。
もっともそれを管理する庭師のいない今、いつまでそれが続くのかはわからないが。
それでも元々強い品種なのか毎年咲いている花は未だ絶えはしなかった。
「で、お前の持っているそれは何だ」
「花瓶」
「みればわかる」
「水仙」
「それも見ればわかる」
黄色い花をたたえた花瓶を手にシンはリオンに真っ向向き直っている。
「せっかくだから飾ろうと思って」
水仙は今の時期、庭に満々開だ。
ヒューゴ邸の庭でなくとも道端にもあちこち植わっている。
放っておいても毎年咲く花。
「そこら中にはえてるのにか…」
「でもきれいでしょう?」
そういえばマリアンがよく花を飾っていた。
自分の部屋から、ささやかながら一輪ざしの花は絶えなかったものだ。
それに意味を見いだせない自分ではあったが、部屋の風景の一体と化していたのも否定できな…
「…なぜ僕の部屋へ向かう」
「私の部屋にも飾った。ついで」
ついでと言われると何だか複雑な気分になるのは何故だろう。
だからといって僕の部屋に飾ってくれとは間違っても言わない状況であるが。
「水仙って雑草みたいにばんばん生える割にきれいだよね」
「否定できないが、雑草みたいなものを僕の部屋に飾られると思うと複雑だ」
「マリアンさんは飾らなかった?」
「飾らない」
花は飾ってもそれは店に売っているようなものであり、そういえば水仙は見た覚えがない。
もっとも何の花が飾られていたかと言われれば、ろくに覚えていないものである。
「水仙って、美青年ナルシスの化身なんだよね」
「そうなのか?」
「…ナルシスト、って言葉あるでしょ。あれ。自分に恋していつも水面を見ていたとか言う…」
「…………そうなのか」
なるほど、ナルシストとはよく言ったものだ。
そのまま水面に落ちたと言うのではないだろうな。
リオンは次に来る言葉を好奇心とは程遠い心持ちで、それでも待った。
「ちなみに花ことばは「うぬぼれ」」
「そんな花を僕の部屋に飾るな。」


僕は今日飾られた花が水仙だと言うことを忘れないだろう。
むしろ水仙を見るたびにその話を思い出すだろう。

………否が応でも花について詳しくなりそうな季節だった。

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